私は君の何を知っているだろう。
頭が痛くなる。
知らないコトが多すぎて・・・・・・───────
「誰よりも。」
静かな部屋。
聞こえてくるのは囁き程度の会話だけ。
天井からぶら下がっているキレイな模様のライトは消され、
ついているのはベッドの近くの間接照明1つ。
薄暗く静かな部屋。
そこにいるのはロイとの2人だけ。
アンティークなソファーには座らず、
並んでベットに座っている。
「・・・・・」
ロイは優しく囁いて、に軽くキスを落とす。
そして何気なくの腰に手をまわした。
「ロイ・・・。」
「ん?」
「・・止めて。」
のたった一言で動きが止まるロイ。
言葉通りに止めたのではなく、驚きのあまり動きが止まってしまったのだ。
そんなコト、1度も言われた事がなかったから。
「・・・・?どうしたんだ?」
取り敢えず体勢を直しながらロイが問う。
はすぐには答えずに、ただ前を見ていた。
少しの時間をおいて、ロイの耳に入ってきたの言葉。
「少し、距離をおきたいの。」
その後、ロイは無言で帰る支度をして、の部屋から出ていった。
帰り道、そう遠くない自宅へ向かう足取りは重く、
ロイは頭の中で色々考えていた。
何か気に障ることをしたか、言ったか。
何かの記念日を忘れていたとか?
いや、との記念日を忘れるはずがない。
じゃぁ何だ?
・・・・・・・・・・・・オレ以外の、男・・・?
そんなことを考えていると、いつの間にか自宅の前まできていた。
「まさか・・なぁ。」
疑ったらキリがない。
は美人で、東方司令部の同僚はもちろん、
セントラルでも人気が高い。
少佐という階級の為、よくセントラルに出張するのだが、
行くたびにファンを増やし帰って来る。
無論、ロイが強制的に出張には付いていくので、
悪い虫はつく前に燃やされるが。(笑)
ロイは頭を乱暴に掻き、今日はもう寝ることにした。
「明日・・本人に理由を聞こう。」
次の日。
もう昼食もすまし、定時まであと3時間ほどしかない。
が、ロイはに話し掛けられないでいた。
話し掛けるチャンスはいくらでもあった。
しかし、気になることが1つあって、話し掛けずに様子を見ていた。
その気になることとは・・ジャン・ハボック少尉
何故なら今日は朝からずっと、とハボックが一緒にいるからだ。
勿論、昼食も一緒に食べていた。
いつもなら公園に行って、ロイと2人きりで食べていたのに。
ロイとが恋人関係だということは有名で、
今日の昼以降は、破局説が一気に流れ噂になった。
「大佐、少佐と何かあったんですか?」
ホークアイ中尉が心配して問う。
ロイは苦笑いして答えた。
「何も無かった、と言えば嘘になるが・・・。
私にも良くわからないんだ。
・・とハボック少尉は、いつからあんなに仲が良くなったんだ?」
するとホークアイが「えっ?」と小さく言う。
ロイはそれを聞き逃さなかった。
「何か、知っているのか。」
「・・・・・少佐とハボック少尉は実家が近いらしく、
幼馴染だと伺ってますが・・ご存知、なかったですか。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
ロイは一瞬驚きの表情を見せた後すぐ、
頭を掻き、悔しそうな顔を隠しながら言った。
「・・・・初耳だ。」
私は、について知らないことが多すぎる。
ハボック少尉と幼馴染なんて知らなかったし、
第一、2人の実家が一緒なんて事も知らなかった。
”恋人”という甘い響きに酔っていた。
私はの何を知っている?!
私はっ・・・・・───────
「っくそ!!・・・・・・・・」
一方は・・・・・・───────
「ねぇ、ハボック。今日・・泊めて?」
「は?自分ん家帰れよ。」
「え───ヤダ。帰りたくない。」
「帰れ。」
「ってゆうか、1人で居たくない。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
コーヒーを飲みながら話すとハボック。
カップを両手で持ち、それを見つめながら零すようにが言う。
「1人で居ると、ロイのこと考えちゃうから・・・・。」
ハボックは吸っていた煙草を灰皿でつぶし、
息を軽く吐いてから言った。
「わかった、泊めてやるよ。」
その言葉を聞き、一瞬にしての表情が明るくなる。
「ただし!」
「ただし・・何よ。」
ハボックはの頭にポンッと手を置き言った。
「大佐の事をキレイさっぱり忘れられるならいいぜ。
今の・・・大佐の女のお前を、オレの家に泊めるなんておっかねーコト、
いくらオレでもできねぇからな。」
「・・・・・・。」
は思いっきり膨れていた。
幼少の頃から変わらないの反応は、
昔はムカついて喧嘩になったものだが、
今は可愛いと思ってしまう。
きっとはそれに気付いてない。
「・・・・そんなこと、出来るわけないじゃない。」
「だろーな。」
「っ!!ハボックの意地悪っ!
いーよもう、リザさんに頼むからっ」
持っていたコーヒーカップを、大きな音を立てデスクに置き、
はホークアイを探しに行ってしまった。
「はは、意地悪ねぇ。」
きっとは気付いてない。
「なんで大佐に惚れちゃったかなぁ。
・・・・・・・・・・・・オレに惚れればよかったのに。」
オレの気持ちに、気付いてない。
「イヂワルは・・どっちだよ・・・・・・・。」
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なんか、ハボックを出したくて出してみました。
結構好きなキャラだったりするんでvv
でもちょっと可愛そうな役、だったかな。
ご感想お待ちしておりますvv
→黒蝶
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