「二人の転入生」




ここは葉たちの通う、私立森羅学園中等部。
今日も普通にHRが始まった。

葉は大きなあくびをして机に突っ伏した。
瞳をゆっくりと閉じかけようとしたその時


「えー、突然だが転入生を紹介する。なんと北海道から来たそうだ。入ってきなさい。」

「はいっ!!」


葉はバッと顔を上げた。
理由はただ一つ。

聞き慣れたあつかましい声が聞こえてきたからだ。
そしてそこに、あつかましい声の持ち主が現れた。


「っホロホロー?!」


驚きのあまり、葉は勢い良く席を立った。


「おう、葉!元気にしてたか?」

「あ、あぁ。っじゃなくて、なんでお前がココに居るんよ?!」

「あっ?んなもん決まってんじゃねぇか。転校してき・・・」

「はいはい、そこまで。」


二人の会話を無理矢理先生が終わらせた。


「ホロホロ君は麻倉と知り合いだったのか。じゃぁ、席は麻倉の後ろでいいな。」

「おうってオレ一人っすか?!」

「そう焦るな。実はもう一人転入生がいてな。その子も北海道から来たそうだ。
 で、その子がお前の隣になる。入ってきなさい。」


そして入ってきたのは、とても可愛らしい少女だった。
クラス全員が「はぁ〜・・・vv」とため息を漏らすほどだ。
葉もその少女に見惚れていると、急にホロホロが声を上げた。


「・・・ーーー?!!なん・・な、なんでお前・・・?!」


混乱しているようだ。先程の葉に似ている。

すると、少女がついに口を開いた。


「えへへ♪ホロホロの事、追って来ちゃったv」


予想以上に可愛い声に、またクラス全員がため息を漏らす。


「え・・・ホロホロを追って来た・・・って、どういうことなんよ。ホロホロ・・・。」

「う・・イヤ、その・・・・べ、別に・・・・・・・・・ι」


ホロホロのはっきり言わない態度を見て、はホロホロに抱きついた。


「うわっ////お、おま・・・何やって・・・・・・」

「初めまして葉君vv私、ホロホロの『彼女』のって言います。よろしくネ☆★」


の一言でクラス中がざわめく。


「そ、そうなんか・・・ホロホロ。」


葉が俯きながらホロホロに問う。


「ま・・・・まぁ、一応・・な///」


ホロホロは顔を赤くし、頬を掻きつつそれに答えた。


「一・・・・応?・・・・・・・・・・・・・・・・・・一応って、何よ。」


それを聞いていたがホロホロに問い掛ける。
ホロホロは慌てて否定した。


「や、ち、ちがっ・・・・・・」

「ぅおっほん!あー痴話喧嘩なら放課後にしてほしいんだがなー?」


再び先生が割ってはいる。
『痴話喧嘩』という言葉に反応するホロホロ。
みるみるうちに耳まで赤くなっていった。


「じゃ、早く席に着きなさい、二人とも。
さんはホロホロ君の隣でいいね。」

「イヤです。」


きっぱりとは答えた。
その答えに先生は勿論、クラス全員、そしてホロホロまでもが目を丸くした。

は怒っている。
ホロホロ以外の全員がそれに気がついた。

ホロホロがうっかり言ってしまった「一応」のせいだ。
先生はを宥めるかのように話し掛けた。


「で、では、どの席が良いのですか?」


その言葉を聞きは教室を見渡して、ある席を指差した。


「あそこがいいわ。葉君の隣。先生、いいですよ・・・ねぇ?」


はにっこり笑って先生を振り返った。

のあまりの可愛さに、先生は黙って頷いた。


「やったぁ♪それでは皆さん、これからよろしくお願いしますvv」


軽ーく自己紹介を済ませ、葉の隣に座った。


「よろしくね、葉君vv」

「ん?あ、あぁ。よろしくな。」


葉は顔が赤くなっているのに気づき、素っ気無く窓の方に顔を向けた。



一方、ホロホロはというと・・・・───────


石。


のように固まっている。
さっきのの一言「イヤです」が効いているのだ。

固まっていると、誰かが優しくホロホロの肩をポンッと叩いた。

そこには笑顔の先生が・・・・・・


「席につきなさいv」


現実は厳しい。(笑)
その後ホロホロは、気味が悪いくらいに大人しく席につき、授業を受けた。

休み時間、は目の前で葉と何やら楽しそうに笑っている。
ホロホロは深くため息をつき、顔を下に向けた瞬間、
あることが頭の中に浮かび、前に座っているの肩を掴み、力ずくで後ろを向かせた。


「きゃっ・・・い、痛いよ、バカホロー!!」

「お前、何処に寝泊りするんだよ?!」


真剣に問い掛けてくるホロホロに答えたのはではなく、葉だった。


「あぁ、それなら心配すんな。おいらんとこに居候する事になったから。うぇっへっへ♪」


葉のゆんるい一言で、ホロホロはまた石のように固まった。
ホロホロの頭の中は、悪い方向にばかり考えが働き・・・・


「お前にゃ、嫁がいるだろー?!!」

「アンナは今里帰り中で、当分帰って来ないんよ。だから安心しろ☆」

「なおさら安心できねぇよっ!!何考えてんだお前っ!?」

「おぉ?そりゃお前ぇもだろうがよ、ホロホロ。」

「っだーーーーー!!もぅ、決めたぜっ!オレも葉んちに住む!」


結果が出た。『ナイスなアイディア☆』と思っているのはホロホロだけ。


「な、何わがままな事いってんのよっ?!」


いわれて当然のことをが言った。


「第一あんた、アパート借りたんでしょ?!だったらそっちに住みなさいよ。」

「じゃぁ、お前も来いよ。・・・・。」

「・・え・・・・・・・・・?」


の顔が赤く染まっていく。


「い、イヤよ!だ・・だって私───────」


上手い言い訳が見つからず、言葉を詰まらせるの目に入ったのは、葉。


「よ、葉君が好きになっちゃったんだもんっ!!」


半ばやけくそといった感じで葉に抱きつく
葉はビックリしていたが、「なんか照れるなぁvv」と言いつつ、を抱きしめ返す。


ホロホロ石化。


も、5秒ほどでとけ、また力ずくで葉からを引き離し、自分の方に抱き寄せた。


「ちょ、ホロホロ・・離してよっ!」

「お前はオレだけ見てればいいんだよ。
・・・・・でももし、本当に・・・他の男が好きになったんなら・・・・・・・・・・」


言いかけて、をきつく束縛していた手の力を弱め、離していく。

目には何やら涙のようなものが浮かんでいる。




ぺチン・・・───────




小さく頬を叩く音が響いた。


叩かれたのはホロホロ。



叩いたのは・・・





「・・・・・・バカホロ。何弱気になってんのよ。
そんなんだから私が他の男が好きになっただなんて嘘言わなきゃなんなくなったんじゃない。







・・・・・・私はホロホロ以外、愛せないのに・・・・・。」






顔を真っ赤にし、が言った。
ホロホロも顔を赤くし、耳を疑った。


「え・・・・・・今の・・・・・・・・・・//////」


「もーーーっ本当にバカホロー!!何度も言わせな・・・・・んんっ////」


ホロホロはの言葉が聞き間違いではない事が解り、を抱き寄せキスをした。

ココが教室なのを知ってての行動なのか、それともただたんに忘れているだけなのか、
きっと後者が有力だろう。そして、葉の存在も忘れているだろう。


葉は目の前で起こっている事態にどう対処すれば良いかわからずに、とりあえず教室を後にした。

そしてそれをまん太が追った。


「葉ーくーんっ!」

「お?あぁ、まん太か。」

「葉くん、なんだかいつもよりゆるくない?」

「んー?いやなに、元のさやに戻れてよかったなぁと思ってな。」

「とか何とか言っちゃってぇー★本当はちょっとガッカリしてるんじゃないのー??」

「うぇっへっへ♪そうだなぁ。ちょっと・・・残念だった、な。」




***fin***





なんかメチャクチャな設定してすみませんでした。
ホロホロが転入生って・・・・理由なんだよ。って感じですけど、
思いついちゃったんだもんvv(死)
本当はアンナも出したかったのですが、そうすると話がゴチャゴチャに・・・・・グハッッ

→黒蝶

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