「sweet」
月が薄っすらと浮かぶ空を眺めながら、
着いた先はと兄・ハオの家。
どこからか甘い香りが漂う中ベルを鳴らす。
すると白いエプロン姿のが出てきた。
「あ、いらっしゃい、葉くん♪」
「よぉ。入ってもいいか?」
「勿論☆ちょうど良かった。味見してもらえるかな?」
は葉の手を引き、家の中へ招き入れる。
向かった先は外でも漂っていた甘い香りがするキッチン。
どうやらが何か作っていたらしい。
「ちょっと待っててね」と皿へ料理を移し始める。
葉はの肩越しに顔を出し口を開けた。
はくすりと笑った後、
可愛い『弟』に「あーんv」と言いながら料理を口へ運んでやる。
甘い甘い大学いも。
「・・・ん、うまい。」
「ほんと?!よかったぁv
大学いも、初めて作ったから自信なくて。」
甘い甘いの髪の香り。
「うん、うまい。すげーな、は。」
甘い甘い二人だけの空間。
このまま時間が止まってもかまわないと思ってしまう程。
でもそれは叶わず、
愛してはいけない。
愛してるとも、
愛してとも言えない。
義姉だから。
「葉・・何してるんだ。」
甘い空間を許さないとばかりに背後から聞える声。
「ハオ!お帰りなさい♪」
が振り向くと、ハオは「ただいま」と笑ってみせた。
が、すぐに表情が豹変する。
理由は他ならない、未だににくっついたままの葉だ。
鋭い目つきで睨みつけるハオ。
「早く離れろ、葉。」
「・・嫌だ。」
「ね、ね、そんなコトよりハオ!コレ・・食べてみて?」
無邪気に皿と箸を差し出す。
皿の上にはキレイな飴色をした大学いもが3つ。
ハオは箸を受け取り、1つつまみ口へと運び、
よく味わいながら噛んだ。
ドキドキというか、ワクワクというか、
「おいしい」というハオの一言を待ち望んでいる。
ハオはその期待に応えるように、またにっこり笑い、
「おいしいよ」と言った。
「よかった♪さっき葉くんにも味見してもらったんだケド、
二人ともおいしいって言ってくれて安心したよv」
安著感から胸を撫で下ろす。
そんなの頭を撫でる葉。
「よかったなー♪」などと言っている。
ハオは自分の役割を取られ、
の料理を葉の次に食べたというコトに、
多少の怒りを覚え、
力ずくで葉をから引っ剥がす。
「きゃ・・ハオ?」
「警告を無視した葉が悪い。は僕のだよ。」
そう言って満足気にを抱きしめる。
「そんなコト・・解ってるよ。」
葉は顔を背けながら小さく言った。
そのまま背を向け「ご馳走様」と走り去った。
「・・葉の気持ち、気付いてるんだろ?」
「・・・・・・・・うん。なんとなく、だけど。」
ハオの腕の中で軽く頷く。
ハオは抱きしめたままの頭を撫でてやった。
「人の気持ちは・・怖いものね。
傷つけたくないけど、応えてあげられないの。
だけど優しくしているだけでは、泥沼にはまっていくばかりで・・。
どうしたら、いいの?」
苦しそうな、
切なそうな、
の息遣い。
葉の前では笑顔でいても、
心の中では苦しんでいた。
悩んでいた。
葉がそれに気付いていたかどうかは解らないが、
自分にだけはそれを自ら話してくれた。
そのことが、嬉しくて。
「は、のままでいいよ。
どうする必要もない。」
の輪郭をとらえ、顔を上げさせる。
不安そうな顔。
「・・そんな顔、しないで。」
額に軽くキスをした。
心優しいにご褒美。
「が笑っていれば、きっと・・葉は幸せだよ。」
少し震えている唇にキスをした。
愛しいに僕の刻印。
「僕が、そうだから。」
***fin***
伍万HIT御礼企画、拍磨 莉菜様からのリクでした☆
激甘のリクだったのにホロ苦い・・・ι
申し訳ないです↓↓
いや、でも愛はありますよ、お互いに@
次こそは激甘のハオを書くので勘弁して下さい(え。)
→雅蒼 黒蝶
↑1日1票お願いしますvv↑