「初雪」
「大佐、コーヒーどうぞ。」
コトッとロイのデスクにカップを置いたのは。
は少尉だが、頼まれずともみんなのコーヒーを入れてくれる。
仕事も溜め込まないし、速い。
それをロイに見込まれてココに来た。
「あぁ、ありがとうvvそうだ。今日一緒に帰れるかい?」
・・・・・・正確には気に入られたのかもしれない。
「・・・大佐の仕事が全部定時に終わるのでしたら。」
ニヤリと笑い、デスクに山積みなっている書類を横目で見る。
かなりの量がある。
まず定時には終わらないだろう。
しかしそれは自業自得で、締め切りギリギリまで溜め込んでいたロイが悪い。
頭を抱え込むロイの姿を見て、クスッと笑い、は自分のデスクに戻った。
───────そして定時。
は自分の仕事をきっちり終わらせて、帰る支度をしていた。
当然大佐は仕事中だろうと思っていると、
ものすごい勢いでドアが開かれる。
そこには息を切らした大佐が立っていた。
「た・・・・・・大・・佐?」
「!帰るぞっ」
そう言うと、マフラーを巻き途中のの手を掴んで、
足早に司令部を出て行った。
「大佐、あの、手・・・痛いです。」
「・・・すまん、大丈夫か?」
はコクリと頷き、ロイも微笑んだが、
突然の出来事では驚きを隠せなかった。
仕事があんなにあったのに、もう片付けたのだろうか。
ホークアイ中尉が見張っているのに、抜け出せはしないだろう。
でもなぜこんなに急いで外に連れ出したのだろうか。
はそれらを聞こうと、ロイの顔を見上げた。
「あの、大佐っ」
「よかった、間に合ったようだ。」
「え?」
空を見上げているロイにつられるようにして、
も空を見上げた。
するとヒラリヒラリと雪が降ってきた。
初雪だ。
ロイはにコレを見せたくて急いでいたらしく、
空に向けられていたロイの視線はいつの間にかに向いていた。
嬉しそうに笑うの横顔を、満足そうに眺めている。
「大佐・・ありがとうございますっ!!
初雪、すごくキレイです・・・。」
「は雪が好きだと言っていたのを思い出してね。
喜んでもらえたみたいで良かったよ。」
ロイがニッコリと笑うものだから、も満面の笑みで応えた。
そのの可愛さにロイはノックアウト(笑)
ついに我慢の限界を超えた。
「・・・・・。」
名前を呼ぶとすぐ振り向いたを、すかさず抱き寄せる。
「たっ、大佐?!!/////」
当然は混乱状態。
ロイの腕の中でもがいてみるものの、あまりにも可愛い抵抗の為、
更にロイを喜ばせる結果となった。
「、今は私としか居ないし、
プライベートなのだから『大佐』は止めてくれないか?」
お互いの顔が見える程度の距離を作ってから言うロイの手は、
しっかりとの腰に回されていて、
は逃げる事は出来ない。
そんな状況には赤面しつつ言った。
「で、ですが、上官は上官ですし・・・」
「では、上官命令だ。これから2人きりの時は『ロイ』と呼んでくれ。」
そう言うと、の額に軽くキスを落とした。
「・・・・大佐、それって職権乱用って言うんじゃ・・。」
は更に顔を赤くしつつも、反抗してみた。
するとロイは耳に息がかかるくらいの所で囁いた。
「そんなに・・・嫌かい?」
「え・・あの、別に・・・・そういう、訳、では・・・・・・・。」
頭の中がかなり混乱しているの言葉は途切れ途切れで、
ロイは笑いを堪えていた。
「が『ロイ』って呼ぶまで離さないvv」
意地悪っぽく言うロイに、は少し考えてから横向きで言った。
「・・・・・ロイ。」
「ちゃんと目を見て。」
ロイがの顎に手を掛けて、無理矢理目を合わさせる。
そして、は少し膨れながら再び言った。
「ロイッ」
そう言った次の瞬間、の視界はロイで埋め尽くされる。
今度は額ではなく、唇にキスをされた。
呆然とするに、満足げなロイ。
約束通り、腰に回していた手を離す。
「・・・ロイには敵わないです。」
「あ、敬語も止めてほしいな。」
ため息交じりのに、間髪入れずに突っ込む。
そして「特訓だv」と言って、を家に連れ帰っていった。
初雪の降りしきる中、幸せそうに。
「そういえば、ロイは雪の時も『無能』なの?」
「・・・・・・・・・・ははは。(中尉の影響か?)」
***fin***
はい、ダチに押し付けたロイ夢でした(迷惑・・・)
やっぱロイは雪でも無能なんですかね。
止んでればそんな事ないと思うけど。
ご感想お待ちしておりますvv
→黒蝶
↑1日1票お願いしますvv↑