空気が冷たくなってきて、
景色も淋しくなってきた。
君と歩く散歩道。
「散歩道」
「だいぶ寒くなってきたね。」
そう言って自分の手に息を吹きかけ、
身を震わせる君。
取れかけているマフラーを巻きなおしてやる。
「ありがとう」と可愛く笑った。
「どういたしまして」
つられて笑いながら応えた。
胸ポケットを探り、煙草を取り出す。
冷えたジッポーで火を点け、煙を吐き出す。
隣で見ていた君が真似をして、
息を「はぁー」っと吐く。
息は白くなって、
微かに残っている煙と混ざり合い、
煙より早く消えた。
そのまま視線を空に移す。
空は薄暗く、
夜が迫っているのがわかる。
冷たい北風が吹いた。
塀を越え、道の方まで枝を伸ばした民家の木がざわめく。
ひらひらと木の葉を散らす。
「あ・・・」
言葉と同時に君の手が近づいてくる。
寒さで赤みを帯びている手は、
オレの肩で止まり、1枚の葉を摘み戻っていった。
黄と赤が混じり合った色の葉を、
くるくる回しながら鼻歌を唄いだした。
小さい声でよく聴き取れず、
何の歌かは解らなかったが、
やっぱりオレは笑った。
遠くを見つめ
微かな鼻歌を聞きながら歩く。
だんだんと鼻歌は消えていく。
隣に居たはずの君がいない。
すぐに振り向き、
視界に君が映って安心した。
「、おいてくぞ?」
木にとまっていた2羽の鳥を眺めていた、
その横顔。
無邪気な子どものよう。
オレの声に反応して、
小走りで来て抱きつかれる。
おでこをペチンと叩く。
「あたっ」と零して笑う君。
「心配するから隣にいなさい。」
「うん。」
首だけで頷いて、
冷たい手を差し出す。
オレはそれを軽く握って
また歩き出す。
「寒いね。」
「あぁ、寒いな。」
もぅ薄っすら月が出ていた。
「あったかいね。」
「・・・・あったかいな。」
並んで歩く散歩道。
暖かいのは繋いだ手だけのはずなのに
不思議と寒く感じなかった。
こんな幸せが続いたらいい。
***fin***
書きました。ついに。ハボ夢☆
いつか書こうと思っていて、やっと。
でも普通に書くのはつまらないので、
大人な感じのハボで書いてみました@
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→雅蒼 黒蝶
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