「似たもの同士」




「つまんない。」




もうすぐで6時間目が始まるという時に、急にが呟いた。


「・・・?何か、おっしゃいましたか??」


一緒にいた透がに問い掛けてきた。
どうやらの呟きは、透には聞こえていなかったようだ。

透が心配そうにの顔を覗き込んでくるので、
はニコっと笑顔で返した。


「あぁ、透ごめん。なんでもないよ。」

「そうですか?」

「うん。」


そう言うと、は立ち上がり、教室のドアをガラガラと開けた。


「あ・・・さん、どちらへ・・・」

「ん、気にしないで。」

「は・・はぁ・・・・・?」


またもは、透の問いに笑顔で答え、教室を出て行ってしまった。

それと擦れ違いに夾が入ってきた。
夾は教室をざっと見渡してから、透に問い掛けてきた。


「おい、透。」

「は、はい!何でしょう、夾くん?」

の奴、何処行ったか知ってるか?」

「あ、さんなら夾くんと入れ違いに教室から
出て行かれましたけど・・・お会いしませんでしたか?」


夾はそれを聞いてすぐに教室から飛び出していった。





─────・・・その頃は、昇降口に向かう廊下を歩いていた。


「おい、もうすぐ授業始まるぞ。」


後ろから聞き慣れた声が聞こえたが、は立ち止まることなく声を返した。


「何、夾。あたしがわざわざ教室から出てきたって事、知ってるんでしょ。」

「そりゃ、知ってるけど・・」

「じゃぁ、何?何の用があって追ってくるの。」


は後ろを1度も振り返ることなく、淡々と話し続ける。
そんなの態度に夾は段々イラついてきていた。


「なぁ、まず止まれよ。」

「・・・・・・教室に連れ戻したいわけ?いつから夾はそんなイイ子になったの。」

「ちがっ・・・・そんなんじゃねーよ。いいから止まれ。」

「止まりたいのなら夾だけ止まれば?あたしはコンナ所・・早く出たいの。」


がそう言った後、夾は口では敵わないと思ったのか、
軽く舌打ちをし、それからは黙ってを追った。


はそれを気にすることなく沈黙とともに外へ出た。

外に出た途端には振り向き、夾に言葉を放った。


「夾っ、外っていいよね!空気が中とは全然違うし、
空が・・・・・・見えるし。」

「・・・・・・そうだな。俺も部屋ん中よりか外のが好きだ。」


夾が少し柔らかく笑う。
もそれに応えるかのように微笑んだ。

だがはまたすぐ前に向き直り、空を見上げながら言った。


「何処にいても現実には変わりないし、逃げられないけどね。」

「・・・・・?」


夾は前にいるの肩を掴んだ。
そして精一杯優しく話し掛ける。


「・・何があったんだか知らねぇが、あんま・・自分の中にため込むなよ。」

「・・・・・・・・・・・・何が言いたいのか、良く解らないわ。」


夾の精一杯の優しさを、はいとも簡単に払いのけた。


「っだから、なんっつぅか、こう・・・・・ほら、腹ん中にモヤモヤとかがあんなら・・
お、俺でよければ・・・・いつでも言えよ。聞くぐらいなら俺でもできる。」

「夾・・・・」


いつになく優しい夾に、は少し戸惑った・・・・・ように見えた。


「・・・あんた、今とてつもなく小恥ずかしいことを口にした自覚はある?」

「お、お前なぁ・・・・っ」


今日はふと、いつだったか紫呉が言っていた事を思い出した。







『夾くんにとっては重い言葉を、ちゃんは軽く受け流してしまう。
夾くんにとっての重い言葉は、ちゃんにとって道端に転がっている1個の石ころ同然。
何の意味も持たず、在るのは確かでも
ちゃんはその石に見向きもせず、ただ通り過ぎるだけ。
・・少し酷だったかな?でもそれが、夾くんとちゃんの違いだよ。』

『ふーん。・・・そんなもんなのか?』

『さぁ?アクマでこれは僕が感じたことにすぎないし、
本当のことはちゃんのみ知っているのさ〜♪』

『俺が・・・・・・本当の事を知るのって、出来んのか?』

『・・・・・。夾くんが強く思えば、できない事も無いんじゃないかな。
まぁ、その想いが砕かれるって場合もあるけどねっ☆』

『ちっ・・最後のは余計だ・・・・』







「あたしは別に、夾に理解を求めてないし、理解して欲しい事すらない。
そろそろあんたの行動がお節介だってことに気が付いたら?」

「・・・・・・・・・・・・・お節・・か・・・・・・い・・・・・?」


夾は思いがけない言葉がの口から発せられ、呆然と立ち尽くした。





───────『道端に転がっている1個の石ころ同然』───────






「でも、そのお節介が・・・実は嬉しかったり、するんだよね。」


の表情は、先程の険しい顔つきから優しいものへと変わった。








───────『でもさ、夾くん。その道端に転がってる1個の石ころが、
        光っていたら・・・ちゃんはどうするかな。
        夾くんなら、どうする?』







もし、石ころが光っていたら





「ありがとね。追いかけてきてくれた事、優しくしてくれた事・・
それと、理解しようとしてくれた事、全部。ありがと。」





俺なら





「酷いこと言ってごめんね。なんか、夾や透や由希が優しくしてくれるから、
今まで貰ったことのないモノをくれたから・・・」





なら・・





「あたしがあたしでいられなくなっちゃいそうで、恐くて・・・・気持ち悪かったの。」





俺たちは似ている。





「だからって夾にあたるのは、とんだお門違いだよね。
でもね、夾には悪いけど・・夾に言いたい事言ったら、スッキリした。」





だからきっと、答えも似ているはずだ。





「・・まだ葛藤は続きそうだけど、ね。」





もし石ころが光っていたら・・・・俺は





「ちょっと夾?聞いてんの?!」

「なぁ、もし・・・・もしもだぞっ」

「う、うん。いいから続きは何?」

「もし、道端に光ってる石ころが落ちてたら・・ならどうする?」

「は?何急に・・・」

「いっいいから答えろっ///」





俺は拾って、ポケットに突っ込む。





「んー・・・あたしならとりあえず拾って、ポケットに入れるかな。」






それから・・・・






「あ、それから・・・。夾、あんたに一番に見せたげる。」





一番にに見せに行く。





「っ・・・・・・・・っ」








ボンッッッ








「きょ・・・・あんた、やってる事ムチャクチャ・・・ι急に抱きつくなってι」

「うっせぇー・・・・/////」






俺たちは似ている。


だから本当のことを知るのも、案外簡単かも、な。










***fin***





こんなに夾くんが大好きなのに、
今更初☆夾くんドリームっていうか、
フルバドリーム書いたの自体初っす。
でもこれからフルバは増やしていくつもりですvv
メールで「フルバ書いて」と送ってくださった方々、
大変お待たせいたしましたm(_ _)m
ご感想お待ちしてます☆★

→黒蝶


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