「ファーストキス」





まただ。

この家に住む少女は、近頃暑さのせいか食欲が無かった。


「ごちそうさま。」


は力無くそう言うと、テーブルを後にした。
よく見れば、皿の上にまだ食品がたくさん残っていた。
母は心配そうにの背中を見た。




次の日。

やはりは元気が無かった。
頭がクラクラする。眩暈がする。おまけに吐き気もする。

そしてお弁当もめいっぱい残してしまった。
は少々ふらつきながら家に帰った。

ところが、家の玄関には見慣れない靴があった。
リビングには母と、金髪の男がいた。
母と話をしている。

はリビングのドアを開けた。


「おかえり。」


母が明るく言った。


「ただいま・・・。」


は力無く言った。


「今ね、あなたのことを話していたところなの。
こちらサンジ君。私の知っているレストランの副料理長さんよ。」


母が説明した。
実は母はレストランの料理長と同期だった。
サンジは黙って、少し頭を下げた。
は苦笑いをして少し頭を下げ、とっとと自分の部屋に行った。
サンジはソレを少々微笑んで見送った。




数日後。

は母の声で起こされた。
未だに顔色が良くない。
今日は休みなので、随分寝ていた。
今はなんと、夜の七時だ。

何も口にしていない。
水以外は・・・・・。


「なぁに?お母さん。」


は目をこすりながら言った。


「今日ね、訳あってパーティーに出席しなくちゃならないの。
それでね、サンジ君を呼んでおいたわ。」


母は笑いながら言った。
もう着替えも終わっている。
化粧も済んでいる。

は あらそぅ、と言ってテーブルの椅子に座った。


「じゃぁね・・・。くれぐれも体に気をつけて。何か口にしてね。」


母は心配そうにそう言った。


「はーい。」


はそう返したが・・・。
母は外へ出て行った。
そして5分くらい待ったところでサンジが来た。


「おじゃまします。」


サンジは朗らかに言った。


「こんばんは、サンジさん。」


はまた力無く曖昧に微笑んだ。


「僕がご飯作るよ。」


サンジはガチャガチャと準備を始めた。


「あの・・・・。私。」


はサンジに言いかけたが、いらないとは言えず口を閉じた。





「さぁ、できだ。どうぞ!」


サンジはそう言って、カレーライスをテーブルに置いた。


「あのっ・・・。」

「どうぞっっ!!」


サンジは笑顔で言った。
は仕方がなくカレーライスを口に運んだ。


「あ・・・・おいしー・・・。」


の顔に血の気が戻ってきたようだ。


「よかった!!」


サンジは大喜びした。
彼女はカレーライスを一口、二口・・・と口に運んだ。






サンジは皿を洗い終え、椅子に腰をおろした。


「とても美味しかったです。ありがとうございます。」


は少し照れながら感謝した。


「それはそれは・・・・。」


サンジは微笑みながら言った。
はドキッとした。

顔が赤い。

サンジはの頬に手を置き、力をいれ、ぐっと自分の方に引き寄せた。
一瞬は驚いた。
サンジはの唇にそっと口付けた。


「サンジ・・・さん?」


はもう耳まで真っ赤だ。
サンジにファーストキスを奪われた
生ぬるいキスの味。ドラマで見た・・・・・。


「サンジ・・・さん。キス・・・・初めて・・・・」


は震えた声で言った。


「あ。そっか・・・ごめん。」


サンジはしまったと思った。


「いいえ、私は・・・。」


は赤い顔で微笑んだ。


「今、サンジさんのこと、好きになっちゃった。」


はそう言った。


ちゃん・・。」


サンジはの頭を撫でた。


のファーストキスは、サンジに捧げた・・・・。



end



黒蝶さん、いらんモノですが差し上げます。
私目の気持ちと思いまして・・・。







亜由美ちゃんありがとぅvv
私、ワンピはあんまり読んだ事無いけどサンジはカッコいいよね。
あとゾロも!今度、時間あったら誰かに借りて読みます。はい。

→黒蝶

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