「待ちぼうけ」
雨がシトシト降り続けたそんなある日。
二人はごく普通に出会い、恋に落ちました。
ただ彼は奪還屋で、女性にはバカみたいに優しい人でした。
「波児さーん!!ちゃん来てる?」
彼の名前は天野銀次。相方の美堂蛮と奪還屋をしている。
「残念だったな、今日はまだ来てねぇよ。」
「そっかぁ、じゃ待たせてもらうよ。あ、コーヒーね!」
銀次が待っているのは彼女の。
彼女と言ってもの家を知らないため、
いつもHONKY・TONK(H・T)で待ち合わせをする。
しかし今日はもう5時間ほど待っているのに、一向に来る気配が無い。
「銀次、ちゃん今日は来ないんじゃねぇのか?」
波児が待ちぼうけの銀次を気遣ってか、空になったコーヒーカップを下げ
新しいコーヒーを出しながら言った。
それに対し銀次は苦笑いを見せ、カウンターに顔をうずめた。
「ありがとう波児さん。でも・・・約束したんだよ。今日、会おうって・・・」
すると入り口のドアに付いている鐘の音が店内に響き渡った。
チリン・・・チリーン────・・
「ちゃん?!」
銀次は突っ伏していた顔をバッと上げ叫んだ。
が、そこにはきょとんと目を丸めた夏実がいた。
「あ、あぁ。夏実ちゃん、買い出しご苦労だったな。」
波児が夏実をカウンターへと促す。
しかし夏実は首を横に振って、銀次の隣に座った。
「夏実ちゃん?どうかし・・・」
「さん、来ないんですね。」
夏実は銀次の言葉を遮り、痛いところをつく。
それには銀次も苦笑いするほかなかった。
「私と・・・・私とどこか行きませんか?
もぅお店も閉まるし、さんも・・きっと来ませんよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
夏実は銀次を哀れに思ったのか突然誘い出した。
銀次は「ふぅ」っと息を吐き、いつもの元気な笑顔を見せた。
「ありがとう夏実ちゃん!でも・・ごめん。俺、じゃなきゃダメなんだ。
もし本当に来なくても、が・・・・好きなんだ。」
「銀次さん・・・・」
銀次は一口コーヒーを飲み、とても幸せそうな顔で続けた。
「俺がこんなにも人を愛せるなんて、自分でもビックリしてるんだよ?
無限城にいた頃の俺からは想像もつか・・・・な・・い・・・・・・!!」
銀次の言葉を遮ったのは、今度は夏実ではなくだった。
が後ろから銀次を抱きしめたのだ。
「・・・・?なんで、ここに?」
ドアの鐘の音はしなかった。
でも銀次を包んでいるのは、紛れもなく本人だ。
「ごめんね・・・銀次。」
「え?」
「夏実ちゃんと波児さんに協力してもらって・・・その・・
銀次の気持ちを試したの。」
実はは銀次がH・Tに来る前に来て、スタッフルームに隠れていたのだ。
銀次がいつまで自分を待っていてくれるか、
銀次がどれだけ自分を愛してくれているのか、を試す為に仕組まれていた事だったのだ。
それを聞いた銀次の肩は震えていた。
は銀次が怒っているのだと思い、離れようとした・・・・が、
「きゃっ?!」
銀次がそれを許さなかった。
の腕を銀次が掴んだのだ。
「・・・・・・・かった・・・・」
「・・・?何?」
「よかった・・・嫌われてたんじゃなくて!!」
「銀次・・・!んんっっ・・・」
銀次はしばし強引ににキスをした。
目の前に波児を夏実がいるのも気にせず。
「ん、じゃぁに罰としてぇーこれから俺とデートね♪」
「こっ、これから?!/////」
「そvvじゃ、波児さん、夏実ちゃん、ありがとねvv
俺らの愛を深めてくれて♪」
銀次はそう言うと、の腕をがっちり掴み颯爽と店から出て行ってしまった。
「おいおい、俺たちの立場はどぅなるんだ?」
「まぁ、いいじゃないですか♪二人とも幸せそうだしvv」
雨がシトシト降り続けたそんなある日。
二人はごく普通に出会い、恋に落ちました。
ただ彼は奪還屋で、女性にはバカみたいに優しい人でした。
特に彼女には、何の惜しみもなく愛情と優しさを注いでいました。
***fin***
15000HIT特別企画(+20000HIT御礼)、佑稀さんからのリクドリームでした☆★
お相手が銀次だったので、もっとドタバタにしようと思っていたのに
微シリになってしまいましたι
店を出て二人がその後、どんなデートをしたかは
□□□さんのご想像にお任せ致します(笑)
ご感想お待ちしておりますvv
→黒蝶
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