ねぇ、気付いてる?


キミがいるから僕は強いんだよ。












「キミの為なら」












あの日はどうかしてたんだ。
が可愛くてからかいたくなって。
怒った顔も可愛くて。

でも・・・まさかあんなに怒るとは思わなかったんだ。









ケンカしてから5日くらい経っただろうか。



冷戦状態が続いている。



は僕と一言も言葉を交わしてくれない。
それどころか、僕が近くに行くと姿を消してしまう始末。








朝。

一方的に挨拶するも、予想通り無視。
朝食すら一緒に食べてくれない。

この家には僕としか居ないのに。

2人きりになる為の家なのに。
意味が無いじゃないか。


取り敢えず、1人で食事やら歯磨きやらを済ませ家を出る。
気怠く思えたが、仲間達の元へ。




「いってきます」に当然返事は返ってこない。




家に響いたドアの閉まる音は淋しげだった。
















S.O.F.に乗り、空を見上げてみる。


切っていく風は気持ちいい。が、出てくるのは溜息のみ。

広大な空も狭く感じた。







「ハオ様ぁ〜vv」

「おはようございます、ハオ様。」

「おはよう、オパチョ、ラキスト。」





軽く挨拶を交わし、岩の上に座る。




自分以外の声を聞くと安心する。




話しかければ返ってくる言葉に安心する。






に逢ってから、僕は寂しがり屋になってしまったようだ。






今までずっと孤独だったのに、それでやってこれたのに、
今は孤独が僕に『淋しい』という感情を抱かせる。




人との馴れ合いはうざったいだけだったのに、
今はソレに安らぎをみる。








僕をそんな風に変えたのは、


キミだよ。








「ハオ様、元気ない?」

「・・・そんなことないよ、オパチョ。」

「でもさっきから溜息ばっか・・・オパチョ心配。」

「・・・・・・。」



返答に詰まる。

オパチョは心がキレイな分、隠し事は難しい。
なるべくなら嘘もつきたくない。




様と・・・何かあったのですか?」




ラキストが察して話しに入る。
それに対しては苦笑いをする他なかった。




人に何を考えているか感づかれるなんて、いつぶりだろう。






ポーカーフェイスには自信があったのに。






「ハオ様は様のことになると、表情が豊かになりますからなぁ。」




表情が・・・豊かに、だって。





、僕はもうキミなしでは生きていけないみたいだ。



















夜。

家の中は静かで、「ただいま」という声がやけに大きく聞こえた。



やっぱり返事は返ってこない。
どうやって仲直りするか考えながら自室に足を進める。


すると、キッチンの方から大きな音が聞こえた。






ガシャンッッ






「・・?!皿の、割れる音?っ」


慌ててキッチンへ走る。


着いたそこには割れた皿数枚と、
足から血を流して座り込んでいるがいた。





「っ、大丈夫か?!」





「ハオッ・・来ちゃダメ!!」






僕の耳にの声は届いたものの、言葉は届かず、
考えるより速く身体は動いて、座り込んでいたの身体を支える。




「来ちゃダメって・・・言ったのに。」

「え・・どうして?」

「・・・・・・・・・。」




は呆れた顔で僕の足下を指さす。





・・・皿の破片が刺さっていて、少量の血が出ている。





そんなの大したこと無いし、今の僕は、
久々にの声が聞けて、身体に触れられたコトが何より嬉しい。






キミの足の傷を目の前にしてそんな事考えてたら、不謹慎かな。






「こんなの大したことないよ。
それより早くの怪我を治そう。」



の傷を治そうとすると、は抵抗をみせる。
こんな状況でも離れようとしているのか?

・・・・はなさないけどね。




、じっとしてて。すぐ治・・・」






パチン






「な・・・・・・」



単純にびっくりした。
僕はただ足の傷を治そうと思っただけだ。
なのに何故ビンタ?


手加減は、されているけど。










「ハオの、バカ。」










・・・それはどういう・・」





意味が解らない。










なんで涙目なの?

傷の所為?










なんで悲しそうなの?


・・僕の所為?











「もっと・・・自分を愛してあげて。」



「・・・・・え?」





は大真面目な顔で言うけど、
僕は少し笑いそうになった。











自分を愛せるわけがないから。










「・・・5日前もそう。
軽々しく、私の為なんかに死ねるとか、
もう2度と言わないで。」






愛情表現だったんだけどな。


本心から出た言葉だった。


まさかこんなに怒るとは思わずに。








「一緒に生きて。独りにしないで。


























私の為に・・・・生きて?」


























そんな可愛いこと言われたら、抱きしめるしかないだろう?


もう、抵抗もしないね。







「だから、もっとハオを愛してあげて。
私はハオの次に、愛してくれればいいから、ね。」








「・・・・・・・・・・・あぁ、努力するよ。」








ゴメン、嘘だよ。









努力でどうこうできる事じゃないだろ?

今までも、これからも一番愛しい者はだよ。






「じゃあ足の怪我、治させてくれるかい?
愛しい者の血は見ていたくないからね。」






するとは再びさっと避ける。
まだ何か怒っているのか?

頬を少しふくらませているように見える。





「まだ解ってない。」





「・・えっ、と・・・・・?」





・・・・・・解らない。何だ?









「ハオを一番に愛してあげてって言ったでしょう?
だから、私より先にハオの足を治して。」








僕の足?あぁ、これか。

こんなの巫力を使うまでもないんだけどな・・・・。
仕方ない。




また無視される生活に戻るのは御免だ。





取り敢えず僕は自分の傷を治し、
次にの傷を治した。

その後は2人で割れた皿の後かたづけ。

久々にと会話らしい会話をしながら。





わざと少しゆっくり、ね。

















やっぱり、自分を一番には愛せそうにないけど、
キミの為に生きるよ。

そしてキミの為ならいつでも死ねる。

この想いは変わらないし、変える気もない。







そう易々とは死なないけどね。







ねぇ、気付いてる?


キミがいるから僕は強いんだよ。









それじゃダメかな?













***fin***





飛来 魚月様からの伍万HITキリリクでした☆★
甘甘恋人設定だったのですが、どうでしょうか。
思想の異なる二人を書いてますが、あなたならどっち派でしょうか?
好きな人の為なら死ねる or 好きな人の為に生きる
どっちでも良いと思いますよ。
愛していることには変わりありませんから。
私は両方ですけどね☆(笑)
→雅蒼 黒蝶

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