「How do you do?」
雨が降れば 雨に打たれ
風が吹けば 風に靡く
それが 自然であるから
自然にあらがう事なんて 出来ないんだ・・・・・・・誰も。
きっと、僕がを愛したのも自然で、
だから、あらがう事は出来なかった。
ハオは仲間集めのため世界を渡り歩いていたが、
日本に帰ってくることもあった。
一人の少女「」と出会ったのは、ちょうどハオが日本に帰ってきた時の事だ。
場所は池々袋のサンサンシャイン60。
・・・・・の裏路地。
「・・・・・・・ちっちぇな。」
ハオは暇つぶしに、S.O.Fの餌・・・つまり、人の命を奪い、S.O.Fに喰わせていた。
・・・魂狩りというやつだ。
「ふぅ・・・。こんなちっちぇ奴らばっかじゃ、暇つぶしにもなりはしない・・・。」
池々袋は大都市で、すごい数の人間がいるが、皆普通の人間ばかりで何の味気も無い。
しかし、S.O.Fの腹を満たすには手っ取り早い場所だ。
「S.O.F・・・。あと50匹ほどでいいかい?・・・もう僕は飽きたよ。」
苦笑いし、表へ出て行きS.O.Fであっという間に50人もの人間を捕らえ、また裏路地に戻った。
そしてそれを、S.O.Fが喰らう。
「早く喰っちゃえよ、S.O.F」
ついさっき狩ってきたばかりの魂を喰らうS.O.Fを眺めながらハオは言う。
50人もの人間を殺しても、平然としている。
だがその平然とした顔が、次の瞬間・・・・・・・・・・・・
崩された。
「・・・・・・・・・・・・それって、人の命・・・・・・・・・?」
「・・・っ?!!」
ハオはビクっと身体を揺らし、声がした方を向いた。
そこには、ハオと同じ年くらいの1人の少女がいた。
どうやら少女にはS.O.Fが見えているらしい。
しかし、怯えている様子も、警戒している様子もない。
「・・・・・・・・ちっちぇな。」
「・・・・・・・・キミと、同じくらいじゃない?」
「・・・・・・・・S.O.Fが見えるのか?」
「S.O・・・ファイ・・ア?そこの大きいやつ?」
「・・・・・・・・怖くはないのか?」
「・・・・・・・・それは・・S.O.Fのこと?それとも・・・・・・・・・
キミのこと?」
「・・・・・・・・・・っ!!」
先程の、平然としていたハオの顔は見事に崩されたが、
少女の方はというと・・眉一つ動かさないといった感じだ。
「あたし・・・怖くないよ。」
「・・・S.O.Fのこと?それとも・・・・・・僕のこと?」
「・・・・・・・・両方とも、怖くなんてない。ただ・・・・・・・。」
「・・・ただ?」
すると少女はハオに一歩一歩近づき、右手でそっと、ハオの左頬を包んだ。
ハオはまたしても身体をビクっとさせたが、頬に当てられた少女の手はそのままにした。
そしてその時、初めて少女が笑顔を見せた。
どこか、哀しそうな笑顔を・・・・───────
「ただ・・・・キミが淋しそうだったから。」
ハオは少女の言葉を耳にした瞬間、目を見開いた。
それと同時に、少女の手がハオの頬から離れていく。
「・・・淋し・・・・・・そう?・・・・・・・・・・・・・・僕が、かい?」
ハオは半分バカにしたような言い方で、少女に言い放った。
そして今度は反対に、ハオが少女の頬を手で包み、
嘲笑うかのように、少女に言った。
「それは君が、淋しいからなんじゃない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
少女は何も言い返してはこなかった。
ただひたすら、ハオの瞳をまっすぐ見つめているだけ。
またハオも、少女の視線を返すように、少女の少し大きめの瞳を見つめていた。
・・・・・・・・一体どのくらい時が過ぎたのだろうか。
夕日が、沈みかけている。
「・・・もうすぐ夜が来る。そろそろ行くぞ、S.O.F・・・・・。」
ハオは少女に背を向け、マントをかえした。
そして、S.O.Fの肩に乗り、少女を振り返る。
動こうとしない少女に、ハオは呆れ顔で言った。
「そろそろ、家に帰ったほうがいいんじゃない?『パパとママのいる』・・・ね。」
「・・・・・・・・・・・。」
少女は黙ったまま、視線をハオからS.O.Fへ向けた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いないの。」
「え・・・?」
「いなくなっちゃった。・・・・・・・・つい、さっき・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・!!」
少女の声は震えていた。
涙を瞳いっぱいためて、S.O.Fを見上げていた。
でも決して、涙を流さなかった。
下唇を噛み締めながら、我慢していたのだ。
「そうか・・・・・君の両親を、僕が・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・。」
少女は視線をハオに戻し、また黙り込んでしまった。
人間を殺す事に対して、いつしかなんとも思わなくなっていた。
あんなちっちぇモノ・・・1匹や2匹いなくなったって、影響なんて無いから。
でもそれは、僕の中の概念だったんだ。
僕にとって、何でもない人間が・・いなくては生きていけない者もいる。
だから人間は弱いというのだ。
最後に一番信用できるのは、結局は親でもなく、兄弟でもなく、親友でもない。
自分ひとりなのだから。
でも・・・そう思っていたのに・・・・・・・・。
何故だろう。
今とても、この少女を守ってやりたくなった・・・・・・・・。
我慢するその素振りが可愛くて、愛しく思えた。
瞳に留まっている涙の奥に、不安が見え隠れしていたから
「未来」に・・・・・・・怯えていたから
守ってやりたくなったのかもしれない。
小刻みに震えているその肩を、包んでやりたくなった。
不思議な・・・・・・・・・・・・少女。
「・・・・・・・・・・・こいよ。僕の元へ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
ハオの言葉で、少女は瞳を大きく見開いた。
その瞬間に、溜まっていた涙が頬を伝う。
「共に行こう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「っ?!!な・・・・んで、名前・・・・・・」
ハオはクスッと笑い、S.O.Fから降り、の手を握った。
「僕にはわかるよ。なんたって、未来王だから、ね。」
「未来・・・・・・・王・・・・・・・・・・・・・・・・?」
は不思議そうな顔でハオを見つめる。
ハオはまたしてもクスッと笑い、今度はを抱きしめた。
「なっ・・・・・・・・・/////」
「は僕と共にいればいい。」
「・・・・・・・・・・・・?」
「守って・・・・・・・・・・・やるから。」
淋しさなんて、二人で消せばいい。
苦しみだって、二人で超えれば怖くは無いだろ。
僕が 守るから。
僕が 愛すから。
そして・・・・・・・・・幸せになろう。
二人で・・・・・・・・・・・。
「だから、共に 行こう。」
「・・・・・・・・・・・・・・・うん。」
僕が 愛すから。
***fin***
なんだか最後の方がちょっと納得いかない作品・・・。
でも、何気に長編で途中のところは気にいってたりするので、
続編書くかもです☆
では、ご感想お待ちしておりますvv(^-^)
→黒蝶
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