「必要なのは 〜X'mas Plesent Project〜」




聖なる夜に 愛する人と肩を並べて。







聖夜を祝う赤ワインなんかは 無くていい。












必要なのは・・・・・・───────────












12月24日  気温4℃  そしてマフラー


「うへぇ〜っさっび────・・・・・っっ」


元民宿「炎」の中庭で、半そでTシャツ姿の男、葉が声を上げた。


「いや、っていうか、見てるこっちが寒いよっ」


コートをバッチリ着込み、マフラーに手袋まで装備したが居た。


「おぉ、!来てたんか!?」

「うん、ついさっき。アンナに聞いたら中庭だって言われてきたんだけど・・・。」

「そうか、そうか。じゃ、行くか!」

「えっ・・・そのカッコで?!」

「うぇっへっへ♪さすがのオイラもこれじゃぁ、風邪ひいちまうからな。」


葉はそう言うと、の手を引き、炎の中に入ろうとした。






その時。













「お待ちなさい、葉。」










「ぅげっ、ア・・・・アンナ?!!」


葉の前には、仁王立ちするアンナが居た。
腕を組み、踏ん反り返っている。
少し気が立っているようだ。


「と、止めたって無駄だぞ!!これはずっと前からの、との約束なんだかんな!!」


葉は、一度もアンナと目を合わすことなく言った。


「ふんっそんなの解ってるわよ。・・・葉、いい?」


アンナはそこまで言うと、大きく息をした。









「門限9時!絶対厳守!!に変な行為禁止!!超絶対厳守っ!!!
もし守らなかったら・・・・・・・・・命は無いものと思いなさい・・・。」








「なっ・・・・・」


アンナの迫力に、葉は言葉を詰まらせた。
反論したくともできなかった。


「あはは♪もぅ、アンナったら心配しちゃってー☆葉が固まっちゃったよ?!」

「あたりまえよ。私の大事なに何かあったら大変だもの。
寧ろ、まだ甘いわ。本当は門限6時にしたいくらいよ。」

「オイラ達は小学生かっ?!!」











バッチーンっっ











「ゴメンナサイ・・・。」

「よろしい。」

「だ、大丈夫?葉・・・ι」


とまぁ、お約束も忘れずに済ませた葉とは、無事(?)炎を後にし、ふんばりが丘駅に向かった。









「うぇーーー、やっぱまだ寒ぃな・・・」

「だって、さっきのTシャツの上にコート羽織っただけでしょ?」

「あぁ・・・!そういえば!」

「もぅ、ま、そこが葉らしいんだけどネ。」


はふふっと笑い、黙ってマフラーをはずし葉に差し出した。


「コレ、葉に貸してあげる。」

「でもそれじゃぁ、が寒いだろ・・・?」

「ううん、平気だよ♪」


は笑ってみせたが、明らかに無理をしているのがわかった。
なぜなら、マフラーを差し出した手がすでに震えていたから。
それに気づかぬほど、鈍感な葉ではなかった。









「あぁ、こうすればいいんよ♪」








「え?」









葉は何か閃いたらしく、のマフラーを手に取り、
半分を自分に巻き、を引き寄せた。


「きゃっ、葉?!も、もしかして・・・」


葉はニッと笑い、もう半分をの首に巻いた。


「こうすれば暖っけーだろ?二人とも、なvv」

「う・・・うん、まぁ///」


は少し照れつつ頷いた。

二人の距離はマフラーによりかなり近づいた。

・・・というより、密着状態に近い。


「・・・・・・は暖けーな♪」

「よ、葉こそ・・・」


そんな会話をしていた二人は、少し顔が赤かった。

そしてバスに乗ったりして、ふんばりが丘駅に着いた。










「じゃ、オイラ切符買ってくるから、はそこで待ってろよ。」

「うん。あっねぇ、葉!」

「ん?」

「どこ行くの?」

「どこって、切符買いに・・・・」

「じゃなくてι目的地っ!!」

「・・・・・・そいつぁ、着いてからのお楽しみってやつだな♪」


そう、実はは行き先をまだ知らないのだ。











あれは一ヶ月前のこと──────────












が炎に遊びに来ていた時だった。


「なぁ、。」

「何?葉。」

「お前、来月の24日空いてっか?」

「んー、たぶん。何で?」

「じゃー二人でどっか出かけるか?!」

「えっ別に、いいけど。」

「よしっ決まりな!!24日にまた来いよ。約束だかんなっ♪」










そして、の約束通り24日今日、炎に着たというわけだ。
しかし、行き先を教えてもらっていない。









───────っ!!!」









が言われた通り待っていると、葉が猛ダッシュでこっちに向かってくる。


「な、なに?どうし・・・・・」

「あと30秒で列車来るから、超ふんばりダッシュするぞ!!!」

「えっ・・・・・え───────?!!」


葉はの手を引き、超ふんばりダッシュをした。
そして、なんとか発車に間に合い、列車に乗ることが出来た。










列車に揺られること数十分。










「お、着いたぞ!!!」

「・・・ここ、池々袋?」


葉はニコッと笑い、の手を強く握った。


「人が多いかんな。迷子になるなよ?」

「うん。」


池々袋駅を出て、二人は歩き出した。

言葉少なめに歩いていたが、互いの身体の体温が強く握られている手から伝わってくる。




すると前方に巨大ツリーが見えてきた。









「うわぁ────・・・・キレ───vvv」









前、大きなツリーが見たいって言ってたろ?」








「え・・・覚えて、たの?」








「うぇっへっへ♪」









二人の目的地はここ、巨大ツリーだった。

葉は、が何気なく言った一言を覚えていたらしく、
それを叶えようとココに連れてきたのだ。

はそんな葉の心遣いが嬉しくて、涙目で言った。



「ありがと・・・・・葉。すっっっごく嬉しい・・・・・・vv」










「・・・オイラはただ、の喜ぶ顔が見たかっただけなんよ♪」










「・・・・!!」





葉はをそっと抱き寄せた。


まるでガラスを扱うかのように。



















・・・・・・・・は気づいてねぇかもしんねーけど、オイラ、ずっと・・・・・・のこと・・・・・・・・・・・


















好きだったんよ。」


















「・・・・・・・え?」












「だから・・・ずっと、傍にいてほしいと・・思ってる。は・・・嫌か?」














葉は、どこか淋しそうな顔でに問い掛けた。

は少し動揺しているように見える。

そして再び涙目になり、俯いた。




「・・・・嫌なら嫌で・・・・・・・いいんよ?」





葉が苦笑いを浮かべながら優しく言う。

しかしは、大きく首を横に振り、次の瞬間・・葉に抱きついた。







・・・・・・?!!/////」















「嫌なんかじゃない・・!逆なのっ嬉しいのっ!!すごく、嬉しくて・・・・










夢なんじゃ・・・・・・ないかって・・。」











「・・・・・・・・・・・・。」


今にも泣き出しそうなを、葉は今まで以上に優しく、強く抱きしめた。


「よしっ、これで快く言えるぞ♪」


「え?な・・・んっ・・・・・・?!」


葉は不意打ちというやつで、にキスをした。


それは、触れるだけの優しいキスだった。














「Merry X'mas☆vvv」














「め、めりぃくり・・すます・・・・・・//////」



そう言うと葉は、なにやらポケットごそごそ探し始めた。




「あ、あれ・・・・・ない・・・・・・・?!」

「どうしたの?」

「い、いや・・・に用意したX'masプレゼント、忘れてきちまったみたいなんよ・・・ι」

「あは☆いいよ、気にしなくて!それにプレゼントは・・・・・もう貰ったしvv」



「・・・・・?」


葉はきょとんとし、を見つめた。

するとが、頬を赤らめ、葉の耳元で囁いた。











「プレゼントは・・・・・・・葉の愛とキスだよvv」











「あっ・・・・///」








「ありがとぅvv最高の・・X'masプレゼント・・・vvv」











聖なる夜に 愛する人と肩を並べて。










聖夜を祝う赤ワインなんかは 無くていい。












必要なのは、愛する人の体温、甘い囁き





















そして、愛・・・・・・・・──────────────

























***fin***





さん、Merry X'mas☆★
X'mas企画で作った作品なのですが、いかがでしたか?
結構長かったですよね。もしかして現時点で夢見草最長??(笑)
折角の特別企画なので、長編モノをと思いまして・・・☆
最後まで読んでいただき、本当に有難うございますvv
この作品は、黒蝶からのささやかなX'masプレゼントとさせて頂きます♪

→黒蝶

ホームページランキング アニメ・コミック部門
↑1日1票お願いしますvv↑