「犯人探し」





ここは草摩本家。
今日は天気も良く、慊人の体調もなかなか好調だった為
はとりは久々にのんびりできる休みをとった。



「・・・いい天気だ。散歩でもするか。」



何も持たずに外に足を運ぶはとり。
すると正門の前で1人の少女が泣いていた。
後ろを向いていたが、髪の長さ、色、そして身長などで
その少女が誰なのか、はとりには察しがついた。



「・・・・・。どうした、こんなところで。」



そしての肩を軽く叩いた。
はそれにビクッと反応してから振り向いた。



「・・・・っは・・とり・・・・・・さん。」



振り向いたの頬は涙で濡れていた。
はすぐに、それを隠すかのように手で涙を拭い取り、
にっこりと笑顔を作り、はとりに話し掛けた。



「お出かけですか?今日はいい天気ですのもね♪
お気をつけて・・・・」

「何か、あったのか。」

「え・・・・・・・・・・?」



無理に明るく振舞うに、はとりは顔を曇らせ問う。
は尚も笑顔だが、手や肩が小刻みに震えていた。



「何かあったら必ず報告しろと言った筈だが?」

「・・・・・・・・・・・はい。」



の目に再び涙が浮かび、は顔を下に向けてしまった。
そしてはとりは優しく話し掛けた。



「俺はの全てを知って、弱みを握ろうとしているわけでも、茶化そうとしているわけでもない。
ただ・・・・・・・・・・」





もう2度と愛しい人を佳菜と同じような想いだけは
させたくないんだ。
佳菜以上に愛しいなら尚更・・・・・・・・。






「はい、大丈夫です。解ってます。はとりさんがとっても優しいってこと。」



今度はの本当の笑顔ではとりに微笑んだ。
そして一度地面に顔を向け、何かを決心したかのようにはとりの瞳をみつめながら話始めた。



「・・・・・・・・・はとりさんは、3日くらい前に診療室の金庫に入っていた5千万が盗まれた事件のこと、
・・・ご存知ですよね?」

「あぁ、小耳には挟んだな。そういえば、草摩の者に違いないと噂をしていたのも聞いたな。
それがどうした。」

「そ・・・・それ・・が」



は言いかけて、こらえていた涙が流れ落ちたが、
はとりに伝えなくてはという思いで一杯なのか、必死に話を続けようとしていた。



「・・わ・・・・たしは・・やってなんかな、ぃ・・・のに・・・・
ほとんどのひ・・人は、わた・・・・・しがやった・・って、犯人だって・・ぃ、言うんで・・す」



は何とか言い切り、下唇を噛み締めながら涙を止めようとしていた。
はとりはポケットからハンカチを取り出し、の涙を拭いてやった。



「・・なるほどな。痛くもない腹を探られている・・・ということか。」



はとりがため息と共に言った後、はコクリと頷いた。
するとはとりは、の頭をそっと撫でた。



「は・・とりさん?」

「真犯人を捕まえるぞ。」

「えっ・・・?」



は始めは冗談だと思っていたが、はとりがあまりにも真剣な顔で言うものだから、
も真剣に答えようとするが、なかなか言葉が出てこない。
そしてそれを見兼ねたはとりが口を開いた。



「俺は、を信じているから言っているんだ。」

「そ、それは解ってます!・・・あ、いえ、己惚れているわけではなくて、
はとりさんは、本当にいい人だから・・・・・・・」



は少し苦笑いをし「でも・・・」と付け加えた。



「でも・・・はとりさんに迷惑をお掛けするわけには・・・・・・」

「・・・優しいのはの方じゃないか?
今一番辛い思いをしているのは、俺ではなくなんだぞ?」



はとりがここまで言っても、はまだ申し訳なさそうに困り顔をしている。
はとりは「ふぅ・・・」と息を吐いた後、話を続けた。



「一人で解決しようとするから疲れるんだ。
一人で解決できない時は誰かを頼っても、いいじゃないか。
君の周りには敵もいれば、味方もいる。
それに・・・人間は、弱い生き物だから・・な。」



はとりはふっと、淋しげな笑顔を見せた。
そしてすぐまた真剣な顔に戻り言った。



が気にしている迷惑のことだが、迷惑なら掛けられ慣れている。
アホな親友が2人もいるものでな。」



『アホな親友』とは、きっと紫呉と綾女のことだろう。
にも理解できたようで、クスっと笑いはとりの手をとった。



「はい、ありがとぅございますっ!
それでは一緒に真犯人を捕まえに行きましょぅっ!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・/////スミマセンι張り切りすぎちゃいましたか・・・?」

「・・・いや、にはそっちの方が似合っている。」



さらりと恥ずかしい事を口にするはとりに、は赤面&硬直。(笑)



「む?どうした、。行くぞ。」

「は、はいっ/////」



そんなこんなで、2人の犯人探しは始まったのだった。





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