「会えてよかった」
夢で会えたら
どんなに幸せだろう
夢で会えたら
また希望を持つだろう
君に 会えるかもしれない・・・・・と───────
僕はドイツに、1人の女性をおいてきた。
彼女は別れ際、一粒の涙を見せた。
でもその後すぐに、可愛らしい笑顔を作って見せた。
アレは、『サヨナラ』の意味の笑顔なのか
それとも『待ってる』の意味の笑顔なのか
今でもわからずにいる・・・・・・・・・・
「・・・・・スト、ファウスト?!」
「?!あ、葉君ではありませんカ。僕に何か用ですカ?」
何か虚ろな瞳をしていたファウストに、葉が心配になって話し掛けてきたのだ。
「どうしたんよ?元気ねぇぞ。」
葉が心底心配そうな顔をしながら言った。
それにファウストは苦笑いしつつ応えた。
「いや何、ある人のことを思い出していただけのこと・・・・心配は無用でス。」
「・・・・・ある、人?」
葉は、今度は不思議そうな眼差しでファウストを見た。
いかにも、「ある人」が気になっているというような瞳だった。
「ウッフッフー、話せば長くなるのですが・・・いいでしょう、葉君には特別お話しましょう。」
葉はごくっと息を呑み、身を乗り出した。
「僕はある人を、1人ドイツに置き去りにして、このS.Fに臨んだのでス。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・はっ!ファウスト、終わりか?」
「えっ?ハイ。」
「短かっ!っつうか、肝心のそのある人ってのは誰なんよ?」
「あぁ!葉君に言ってもわからないとは思いますケド、『』という女性でス。」
「ふぅーん。どんなやつなんだ?」
「そうでスネ・・・小柄で、とても可愛らしい人でス。」
ファウストはきっと、頭の中で「」のことを思い出したのだろう。
少し、穏やかな笑みを見せた。
「お前にとって、そいつは『想い人』なんか?」
葉の言葉に、ファウストは一瞬動きを止めた。
少しの沈黙・・・・・
その間葉は、ファウストを急かすことなどはせず、
ゆるやかな表情でファウストの返事を待った。
そして、ファウストは垂れていた首を上げ、葉を見つめ返し、言葉を放った。
「・・・・・・・・・・・はい。」
「うぇっへっへ。だってよ、。よかったな♪」
葉はまるで、そこにが居るかのように話し、
ファウストの後ろにあったドアに視線を向けた。
だが、ファウストは訳がわからないといったような顔で振り返り、
葉の視線の先のドアを見つめた。
「いいぞ、入ってきて。」
葉がドアに向かっていったその言葉で、また・・・・・
希望を持ってしまった。
でももしかしたら、もう、落ち込まなくてもいいのではないだろうか・・・・
もしかしたら、この希望は・・・・・・・・無駄に、ならないかもしれない・・・・・っ!!
ファウストはドアに目を見張り、鼓動は高鳴り、知らず知らずに拳をつくっていた。
ゆっくりと開かれるドア。
すると、白い肌の顔の整った女性が入ってきた。
ファウストの瞳は最大限まで開き、同時に叫んだ。
「っっっ!!!!!!」
もう会えないと思っていた人。
でも ”会えるかもしれない”と 希望を持った夜もあった。
その時は、夢を見たことを悔いた。
夢サエ見ナケレバ、希望ナンテ持タナカッタノニ。
その夜は、出会いを悔いた。
君ニサエ出会ワマケレバ、コンナ思イシナカッタノニ。
でも今は、そう思ったことを悔いている。
だって、目の前にその君が いるのだから。
「っファウスト!!!会いたかった・・・・会いたかったよっ!!」
そして今、僕と同じ想いでここに居る。
こんな僕の為に、涙を流してくれる君が居る。
あぁ、なんて幸せな事だろう。
は葉のことはお構いなしに、ファウストに駆け寄りキスを落とした。
深く優しいキス。
もちろん葉は超赤面状態。(笑)
「・・・・・・」
ファウストは優しく、そして強くを抱きしめた。
S.Fの為に別れたあの日から、夢の中だけでの存在だったの体温を感じ、
ファウストは一筋の涙を流した。
今なら、別れ際に君が見せた涙の後の笑顔が、どういう意味だったのか
分かる気がする。
今なら、迷うことなく、悔いることなくこう言える。
───────会えてよかった───────
***fin***
ファーさんドリ、第2弾!!!
前のよりかは短いかな?作品も良くなってると、いいなぁ・・・。(遠い目)
あ、また例により例の如く、エリザは無視しちゃってますιm(_ _)m
エリザが好きな方、ごめんなさいι
→黒蝶
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